【技術単純化解説】SKYACTIV-Xの技術にZOOMを当てる

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SKYACTIV-X、マツダの新エンジンです。2019年12月5日から、MAZDA3に搭載して、販売が始まりました。

1967年の世界初のロータリーエンジン実用化に匹敵する、マツダの大偉業だと思います。

そんなエンジンを、易しく解説したいと思います。

SKYACTIV-Xの特徴

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そもそも普通のエンジンとは何が違うのか。マツダの公式サイト(www2.mazda.com/,www.mazda.co.jp/)によると

  • HCCI技術(SPCCI)の世界初の実用化
  • かつてないレスポンスとトルクフルさ
  • これまで以上の低燃費

つまり動力性能、環境性能をより高い次元で両立させたエンジン、ということになります。

では、この相反するはずの2つを両立させたSPCCIという技術とはどういうものなのでしょうか?

SKYACTIV-Xの根幹、SPCCIとは

まずはこの技術の基本、HCCI(予混合圧縮着火)から解説したいと思います。

ひとことで言えば「レギュラー(ハイオク)ガソリンで、ディーゼルエンジンのように圧縮だけして着火する」ことです。

流れはこうです。

  1. バルブを開け空気を入れつつ、ガソリンと空気を吹く
  2. シリンダー内の流れを利用して、ガソリンと空気をよく混ぜる。
  3. ピストンで圧縮して温度を上げ、一気にガソリンに火が着き、爆発する。

1や2は通常通りですが、3の工程では、普通のガソリンエンジンのような火花による着火を使いません。

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HCCIをすることで

  • 一瞬で全燃料が爆発するため、力を伝える効率がいい
  • 火花を使うよりガソリンを薄くできて、燃費が良くなる
  • 比較的低温の燃焼で特に環境に悪い物質(硫化、窒化酸化物)が少なくなる

という利点があり、まさにエンジンの理想形でした。

しかし実用には難点がありました。

  • 稼働が可能な条件(回転数、温度など)が厳しい
  • 思い通りのタイミングでの着火が難しい

 

そこでマツダは改良版のSPCCIを開発します。

SPCCIとは日本語で「火花点火制御圧縮着火」といいます。

HCCIとの違いはスパークプラグが備わったことです。

流れがこうなります。

  1. (同)バルブを開け空気を入れつつ、ガソリンと空気を吹く
  2. (同)シリンダー内の流れを利用して、ガソリンと空気をよく混ぜる
  3. 火花でできた爆発とピストンで圧縮して温度を上げ、一気にガソリンに火が着き、爆発する。

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つまり、ガソリンに火を着けるための圧縮を、火花での爆発とピストンの両方でするわけです。

これには大きなメリットがあります。火花での爆発は、タイミングや、(難しいが)大きさを、コントロールできます。タイミングや大きさを変えることで、シリンダー内部の圧力は変えることができます。

これによって、マツダは、ほぼ全てのサイクルに「圧縮して着火」を取り入れることに成功しました。条件次第で「圧縮して着火」する規模は変わりますが、高効率でクリーンな爆発を、常に使うことを可能にしました。

 

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SKYACTIV-Xを助ける、見逃せない補助技術

非常にシビアな管理が必要なSKYACTIV-X。その繊細な制御を助ける隠れた技術を紹介します。

エンジンカプセル構造』

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メカ好きには残念かもしれませんが、SKYACTIV-Xはほぼ全体がカバーに覆われています。これは2つの効果を狙ってのことです。

  1. エンジンを保温し、SPCCIが作動する条件を保つ
  2. エンジンから発せられる雑音を消した静粛性、快適性の向上

 

『マルチホイールインジェクター』

先述の通り、「圧縮して着火」が可能な条件はとても狭いですから、その条件づくりの一端を担う火花での爆発は、精密に行われます。その火花での爆発は、スパークプラグ近くの燃料の量で制御されています。つまり燃料を ”どう噴射して” ”どうシリンダー内で動かすか” が大事になります。

”どう噴射するか”はインジェクターにかかっています。マツダは海外の部品メーカーと手を結びました。なんと、F1のインジェクターを作ったこともあるというメーカーだそうです。

こうして完成されたのが、世界最多10個の噴射口を持ち、一般の製品の2倍以上もの圧力で燃料を噴射できる、マツダの理想ともいえるインジェクターです。燃料の粒をより細かくでき、また、燃料の制御をより緻密にできるようになりました。

 

『シリンダー内圧センサー』

精密な内圧の制御は、非常に細かく、非常に正確にシリンダー内部の状態を知ることが不可欠です。このシリンダー内圧センサーは、1秒間に1万回、圧力の測定を繰り返し、コンピューターに情報を送ります。この細かな測定があってこそ、SKYACTIV-Xの緻密な制御が可能になるのです。

 

サブの装備とはいえ、SKYACTIV-Xには、驚きの技術が積まれていますね!

電気に負けない内燃機関を

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時代はエコ環境にやさしい経済的を重視するようになってきて、1900年代とは比べ物にならないほど、内燃機関が淘汰されつつあります。

でもボクらはエンジンが好き、電気は夜道を明るくだけしていればいい。まだエンジンには生きていく道がある、SKYACTIV-X。

そんな研究を、開発を、私は応援していきたいと思います。