『愛』とは
①兄弟間のいつくしみしみ合う心。
②男女間の、相手を慕う情。恋
③かわいがること。大切にすること。
④このむこと。めでること
(以下省略)引用:広辞苑
2019年、新型「スープラ」が発表された際
トヨタイムズで、トヨタ自動車の社長
豊田章男さんは、こうおっしゃっています。
数ある工業製品の中で「愛」がつく工業製品というのは「クルマ」ですね。
そうなりますと、自動運転というのはA地点からB地点に運ぶ分けですが
それだけでは物足りない。やっぱりそこには移動の楽しみ
それからどんな方にも移動の自由が必要だと思います。
確かに、自動車に対して「愛車」とは言っても
冷蔵庫に対し「愛冷蔵庫」や、洗濯機に対し「愛洗濯機」
パソコンに対し「愛パソコン」などは聞きませんよね。
後者は「愛用の〇〇」として『愛される』よりも
使い勝手のよさから『愛用』されています。
「愛車」の他にも飛行機や船、重機を「愛機」と呼ぶことや
楽器を「愛器」と呼ぶ方が、いらっしゃると思います。
では、なぜこれらのモノは『愛される』のでしょうか?
愛される理由
『愛される』要素は3つあります。
①命を預ける物であるということ

出典:https://www.pakutaso.com/
上記の例を挙げた物の中で、楽器以外は「命」を預けています。
一緒に死んでしまう危険があるのです。
更に、「生きる」か「死ぬ」かの操作は「自分」にかかっています。
操作している時は、乗り物でも何でも
体の一部であるのと変わりありません。
つまり、拡張された自分を愛しているのです。
「生きる」も「死ぬ」も自分次第ということになります。
そこには『愛』以上の『何か』があるのは当然かもしれません。
②限界を超えられる物であるということ

出典:https://www.pakutaso.com/
『愛』をつけることができる製品は
自分自身を拡張してくれます。
人間が、出せる音に限りがあっても
「楽器」があれば、その限界を超えることができます。
人間の足の限界は、「車」が拡張してくれます。
空を飛べない人間に「飛行機」は空を飛ばせてくれます。
しかも、これらは思うがまま、自分の自由に拡張してくれます。
逆を言えば、拡張しないことも自由とも言えます。
①でも触れましたが『愛される』ものは
手足のように自由に操れる、自分を拡張してくれる物なのです。
③機能に意味はない、好きだということ

出典:https://www.pakutaso.com/
「愛されるもの」に機能的な価値はありません。
例えば、自動車が発明される以前は
「馬」がその役割を担っていました。
しかし、自動車の登場でその役割は無くなりました。
ですが、今でも「競走馬」だけは
ヒーロー的存在として活躍しています。
テクノロジーが進み発展した現代に、
馬の機能的価値など無いも同然です。
「人」や「物」を運ぶなら馬よりも
ランドクルーザー1台の方が、圧倒的に優れています。
ですが、競走馬は「愛馬」と呼ばれ
現代にも価値を残しています。
本来の機能的価値はなくても
みんなが好きなんです。
だから愛されているのです。
このように『愛される』には
①〜③のうちでどれか一つ
または、複数を満たす必要があります。
また「愛されないもの」は機能で優れる
最新の物に置き換えられていきます。
自動車会社の生存戦略
自動車会社の「生存戦略」は2つです。
①最新を追い続ける
②『愛される』ものを作る
話題の「テスラモーターズ」は
常に最新のテクノロジーを提供することで
世界の自動車会社の時価総額ランキングで
フォルクスワーゲンを抑えて
世界第2位になりました。
これは①の最たる例です。
②は海外のスーパーカーメーカーが
いい例だと思います。
しかし、自動車業界では
ブランディングだけに頼りすぎては
生き残れない時代が来ています。
「自動運転」「CASE」「Maas」など
これらは今後の自動車業界に欠かせない
キーワードになると思います。
①を追うのか、②を追うのか、方両追うのか
はたまた③を創造するのか
私の個人的な意見としては
大衆車が、移動手段としての役割が強い今こそ
どの会社も②を求めるのはmustだと思います。
今後の自動車業界の動向には目が離せません。