【技術オタク必見!】テクニカルで見る2021シーズンのF1(前編)

現行レギュレーションの最終シーズンが幕を開ける。

今シーズンは、フロア規則やタイヤの変更があり、性能を削がれることになる。

それでも、これらのマシンは、過去最速を作り出した現行レギュレーションの、究極の最終形態であることは間違いないだろう。

その開発成果に迫る。(前編)

今シーズンの主なレギュレーション変更点

フロアの後端

 

出典:https://www.formula1.com/

 

上記の画像を見ていただくとわかる通り、昨年は、赤部までフロアが広がっていたが、今年は青部までに制限された

また、複雑なパーツや穴をあけることも禁止されている。

ディフューザー

 

出典:https://www.formula1.com/

 

一番中心に近い2枚のスプリッターの上下の長さが短く制限された。

トークン制度の導入

 

今年から導入されたマシンの開発制限

簡単に言うと、マシンの開発できる領域が「2トークン」=「2エリア」「2パーツ」のみ許されることになった(一部対象外のエリア除く)。

 

まず開発トークンをどこに使うか

 

フロアの新レギュレーションによって、リアのダウンフォースが特に失われた。

これを補うようにトークンを配分しなければならない

リアのダウンフォースが失われたのだから、どのマシンもリアにトークンを使ってくるだろうか。

否、そうはならないのがF1の面白さであろう。

リアに使用

 

『フェラーリ』と『アルピーヌ』がリアにトークンを配分したことを明言した。

リアの大物パーツなどの形を整え、空力的に自由な空間を広げようという算段か。

特に『アルピーヌ』は、その痕跡が、よく見て取れる。

ラジエーターやギアボックスの位置を高くし、フロア上面の気流の自由度を上げる方向で開発してきたようだ。

その分、エンジンカウルが太くなってしまっている。

 

出典:https://www.racefans.net/

 

フロントに使用

 

逆に、『アルファタウリ』や『アルファロメオ』はフロント部にトークンを使ったという。

初めに空気が当たるフロントの気流を改善し、リアにつなげようという考えか

また、両チームとも、ノーズを少しだが、細くした。

サイドポンツーンやリアへの気流の量がかなり増えるため、大きな変化といえよう。

どのくらいの効果なのかは、これらのチームの成績を見ればわかるだろう。

両チームとも、プレシーズンテストやシーズンインをしても、昨年より相対的なパフォーマンスが上がっている。

トークンを使わない

 

『ハース』『ウィリアムズ』がトークンを使用しない決断をした。

前者は開発コストの節約、後者は「空力と軽量化に集中」が理由であるとしている

どちらも、成績の低迷が続くチームのため、既にレギュレーションが変わる、来シーズンに注力し始めているようだ。

 

出典:https://www.formula1.com/

 

そして、『メルセデス』『レッドブル』使用した箇所を秘密にしている。

トップチームならではのやり方だろうか。

「いずれわかる」と『メルセデス』はコメントしている。

ちなみに『マクラーレン』は、パワーユニットをメルセデス製にスイッチするため、モノコックに使用している。

 

効能を削がれたフロア、これをどう対処するか

 

フロアの規則変更は、ただ面積を小さくしただけではない。

具体的に、2つの問題を生み出した。

 

【1つ目】

1つ目は、リアタイヤへ当たる気流の制御だ

タイヤは回転する大きな構造物で、気流を大きく乱す

この乱流が周りのエアロパーツの効果を削いでしまうのだ。

例年は、リアタイヤの前でフロアにエアロパーツを置いて対処してきた。

今年はリアタイヤ前のフロア自体が半分に減ってしまったので、例年のようにはいかないだろう。

 

【2つ目】

2つ目は、フロア下に乱流が入ってしまうことだ。

ディフューザーの効果を最大限発揮するために、フロア下に乱流を作らないことが大切になってくる。

今年、問題になるのは、フロア外側(マシン左右)から入り込む乱流だ。

いつもならフロア端に穴をあけて、”エアカーテン”を作り進入をブロックしていたが、今年は、穴が禁止されてしまっているのだ。

 

出典:https://www.racefans.net/

 

各マシンを見てみると、いずれもフロア端の処理が似通っている。

フロアの真ん中あたりとリアタイヤ前で、それぞれ、外に流す衝立を立てているのが基本の形だ。

『アストンマーチン』のように、フロア真ん中の衝立を数列立てて、しっかり外に流そうとするマシンがあれば、『メルセデス』や『マクラーレン』のように衝立が無いチームもある。

 

出典:https://www.formula1.com/

 

レースを迎えるごとにアップデートがみられるが、「外に流す」ということが主目的だろう。

リアタイヤ内側に流すわけではなく、リアタイヤに気流を当てないフロア横にエアカーテンを作りたい、との考えのようだ。

そして、採用チームが増える、いわゆる”Z字型フロア”

プレシーズンテストでは、『レッドブル』と『アストンマーチン』のみ採用だったが、グランプリごとに採用チームが増えてきた。

 

出典:https://jp.motorsport.com/

 

”Z字型フロア”は、実質的に、フロアより外側に空力パーツを置けるようにした案である。

これにより、むしろ、昨年よりもエアカーテンを作り出すことが簡単になったかもしれない。

 

後編へつづく

 

前編は如何だっただろうか。

導入されたマシン開発制限と、フロアの大規制、例年以上に開発が難しいシーズン。

トピックはまだまだ終わらない。

▷ 後編につづく