最新のレーシングマシン×「917/30」の伝統

ポルシェは6月6日、WECやIMSAに参戦しているハイパーカークラスのレーシングマシン『963』をベースにしたワンオフモデル『963 RSP』を発表しました。
ポルシェとチーム・ペンスキーの長年にわたる絆から誕生した特別な一台となっており、往年の名車『917/30』へのリスペクトが込められています。
ロジャー・ペンスキー氏の想いを形にしたこのモデルは、単なる最新マシンのロードゴーイング仕様に留まらない、歴史と情熱が詰まった一台となっています。

過去と現在が融合したデザイン
『963 RSP』の最大の特徴は、そのデザインにあります。

「917/30」へのリスペクトを込めたエクステリア
エクステリアは、917/30のアイコン的なカラーリングを踏襲し、当時の塗装方法にこだわってマルティーニ・シルバーに塗装。現在のレーシングカーでは一般的なラッピングではなく、あえて塗装を選んだ点からも、このプロジェクトの並々ならぬ情熱が伺えます。
また、917と共通のエナメル製ポルシェバッジや細部にわたるボディワークの変更など、過去のモデルへの敬意が細部まで宿っています。さらに、公道走行も視野に入れて開発されているため、ナンバープレートの取り付けまで考慮されて設計されています。

快適性と上質さも併せ持つコックピット
インテリアは、一見ストイックでありながら、レーシングマシンである963とは一線を画す、上質な仕立てが施されています。917のハンドクラフトの内装からインスピレーションを得て、ソフトなタンレザーとアルカンターラを惜しみなく使用し、高級感を演出。
また、乗り心地を追求したシートや、917のエンジンファンを模したユニークな換気システムやドリンクホルダーなど、ポルシェの細部へのこだわりと遊び心が光っています。

サルトサーキット近郊の公道に最適なパフォーマンス


『963 RSP』は、見た目の美しさはもちろん、走りの性能にも妥協はありません。公道走行を可能にするため、車高が上げられ、ダンパーもソフトな設定に変更されています。
心臓部には、2006年から2008年にかけてアメリカン・ル・マン・シリーズのLMP2クラスで全タイトルを獲得したペンスキーによるRSスパイダーのレースプログラムをルーツとする4.6リッターツインターボV8エンジンを搭載。
そこに、ボッシュやウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングが供給するコンポーネントで構成された800Vのハイブリッドシステムが組み合わされています。


レーススペックのパワートレインを維持しつつも、公道での使用に適したスムーズなパワーデリバリーを実現し、市販のガソリンでの走行も可能になっているなど、多くのセッティングの見直しが施されています。
この特別な『963 RSP』は今後、ル・マン24時間レースで初めて一般公開され、その後はシュトゥットガルトのポルシェ博物館やグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、917と共に展示される予定です。

