富士スピードウェイで徹底的に研究開発
TOYOTA GAZOO Racingは8月1日にカリフォルニア州で、モータースポーツの経験を活かして改良された進化型『GRカローラ』を世界初公開しました。
進化型『GRカローラ』には、『GRヤリス』にも採用されている新開発の8速AT「GR-DAT」が搭載されています。エンジンの出力は、コーナリング時の加速に重要な中速域でエンジントルクが30Nm向上し、最大トルクは400Nmに達しました。
進化型『GRカローラ』は、モータースポーツの参戦から得た知見をフィードバックしています。「GR-DAT」搭載車の追加やエンジントルクの増加に加え、サスペンションの改良も行われています。サスペンションに関しては、前後のショックアブソーバーにリバウンド側で作動するスプリングが内蔵されており、旋回時の車両姿勢と内輪の接地荷重特性の改善により、旋回中の車両安定性が向上しています。
さらに、リアアクスルの回転中心であるトレーリングアームの取り付け点を高く設定することで、加速時のリアの沈み込みを減少させています。これにより、アクセル操作に対する車両姿勢の変化を抑制し、駆動力の応答性を向上させ、安定した姿勢でのコーナリングを可能にしています。
ステアリング周りにおいては、ステアリングコラムとインストルメントパネル補強部の結合箇所に、結合剛性が高い溝付きワッシャーボルトを新たに採用しています。これにより、直進安定性とステアリングのダイレクト感が向上しています。剛性の面では、シャシー部品を結合するボルトの一部に、結合剛性が高い特殊なボルトを使用しています。ロアアームとロアボールジョイントの結合部は、ステアリング操作の応答性を高め、リアショックアブソーバーとボディの結合部は、ステアリング操作時のリアのグリップ感を向上させています。
クラッチシステムでは、トータルレバー比やクラッチカバー、ターンオーバースプリングの荷重特性を最適化し、クラッチペダルの操作性を向上させています。ピーク踏力を高く設定し、しっかりとしたペダル操作感を実現するとともに、ピーク踏力を超えた後はペダルストロークによる踏力を減少させ、ペダルの踏み切り感を向上させています。スポーティな操作感を実現するためにクラッチ特性を最適化し、戻し側の荷重増加による足の追従性や、半クラッチストロークの短縮による操作性の向上も図られています。
この進化型『GRカローラ』は北米市場への導入は決定していますが、北米以外の市場への導入は現在検討中としています。