フェラーリは、ハイブリッドスポーツカー「296GTB」の特別仕様車「296スペチアーレ」と、そのリトラクタブルハードトップモデル「296スペチアーレA」を発表しました。公道仕様で最速最強と言われる「SF90」にも匹敵するスペックを持つこの2台とは。
◆レースで培った技術をふんだんに投入した“スペシャル”なフェラーリ




「296スペチアーレ」と「296スペチアーレA」は、ワンメイクレース「フェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ」の参戦用マシン「296チャレンジ」で培われた技術を応用し、エンジンに最新のチタン製コネクティングロッドや軽量ピストンを採用。
さらに、WECに参戦している耐久レースマシン「499P」の手法を活かした切削加工により、合計9kgの軽量化を実現。加えて、ハイブリッドシステムには「エクストラ・ブースト・モード」が追加され、システムトータルの最高出力は880CVを記録しています。
◆空力性能の向上と軽量化




296スペチアーレでは、フロントアンダートレイとボンネットをダクトで結び、空気の流れを最適化する新設計を導入。これにより、ダウンフォースを増強するとともに、その他の空力パーツのグランドエフェクトの効率をより高めることが可能となっています。


また、リアバンパーには垂直フィンと一体化したサイドウィングを追加しつつ、可変リアスポイラーのアクチュエータ制御を刷新し、ロードラッグからハイドラッグへの移行時間を50%短縮。これらにより、296GTBよりもダウンフォースを20%増加させ、250km/h時のダウンフォースは435kgを実現しています。




車高は296GTBよりも5mm低く設定され、スプリングとダンパーの調整により、最大ロール角を13%低減しています。さらに、最新のABS Evoシステムが搭載され、6Dセンサーによる精密なブレーキ制御が可能になりました。これにより、あらゆる路面状況で安定したブレーキングが実現し、コーナリング性能も飛躍的に向上しています。
◆フェラーリの技術革新を象徴するモデル




296スペチアーレと296スペチアーレAは、単なる特別仕様車ではなく、フェラーリの技術革新を象徴するモデルです。軽量化とパワーアップ、空力設計の最適化によって、ミッドシップハイブリッドスポーツの新たな可能性を切り拓き、ドライビング体験をより刺激的なものへと昇華させています。
◆価格と発売時期


「296スペチアーレ」の価格はイタリアで407,000ユーロ(約6,650万円)、オープンモデルの「296スペチアーレA」は462,000ユーロ(約7,540万円)に設定されています。なお、米国市場では関税の影響により、価格はさらに高くなる見込みです。