A110のドライビング性能に、実用性をプラス
アルピーヌは5月27日、『A390』を発表しました。このモデルは、アルピーヌブランドの核である「運転する喜び」を追求しながらも、多様なニーズに応えるために開発された、全く新しい電動スポーツファストバックモデルです。
『A110』が持つ爽快なドライビング体験に多用途性を加えたモデルであり、 “スーツを着たレーシングカー”と表現されています。『A390』は、『A290』に続く「ドリームガレージ」の第2弾のモデルとなります。




このモデルの最も大きな特徴は、アルピーヌにとって初となるAWDシステムを採用している点です。このシステムは、フロントに1基、リアに2基の合計3つの電動モーターで構成されています。
リアの2つのモーターが独立してトルクを制御することにより「アルピーヌアクティブトルクベクタリング」を実現しており、これにより高い敏捷性、安全性、そして安定したハンドリング性能がもたらされます。
このシステムは、大きなボディに付随する慣性を部分的に相殺し、ダイナミズムと敏捷性を実現。特にコーナーでの敏捷性で『A110』に匹敵することを目指して開発されました。また、ミシュランが専用に開発したタイヤや、高性能ブレーキシステムなども搭載され、高いパフォーマンスに寄与しています。
「GTS」グレードは、A110 Rと同等の加速を実現




パフォーマンスに関しては、2つのバージョンが用意されています。GTバージョンは最高出力400hp、0-100km/h加速は4.8秒。一方、GTSバージョンは最高出力470hp、最大トルク808Nmを誇り、0-100km/h加速はわずか3.9秒に達します。これは『A110 R』と同等の加速性能であり、性能はバッテリー残量に関わらず繰り返し発揮できるように設計されています。
バッテリーには、フランスのVerkor社が専用に開発した89kWhの高容量リチウムイオンバッテリーが搭載されています。これにより、WLTPモードでの航続距離は、最大555kmに達します。
充電面では、DC急速充電で最大190kWに対応しており、15%から80%までの充電が25分未満で可能です。また、V2L(Vehicle-to-Load)機能や、Mobilize Powerサービスを利用したV2G(Vehicle-to-Grid)機能も利用可能です。
ステアリングに備わるオーバーテイクボタン




車内は運転席を中心にデザインされており、12.3インチのインストルメントパネルと12インチのセンターディスプレイが配置され、ドライバーをアルピーヌの世界観に没入させます。また、Devialet製のオーディオシステムを搭載し、最大13個のスピーカーと専用アンプで構成され、没入感のあるサウンド体験を提供。
物理的なエアコン操作系や、ドライビングモード選択、回生レベル調整、オーバーテイクボタンを備えたステアリングなど、操作性にも配慮されています。さらには、運転データの分析やドライビングスキルの向上をサポートする「Alpine Telemetrics」も搭載されています。
『A390』には、Save、Normal、Sport、Perso、そしてTrackの5つのドライビングモードが選択可能で、ESCを完全にオフにすることも可能。スピーカーから流れる走行音(Alpine Drive Sound)は、モーターの挙動に合わせて再生され、ドライビング体験を豊かにします。
コンセプトモデルのデザインの85%が市販版に反映




このモデルは2024年のパリモーターショーでコンセプトカーが公開され、そのデザインの85%が市販モデルに反映されています。外観は『A110』からインスピレーションを得たプロポーションに、三角形の意匠や独特のライティングシグネチャーが組み合わされています。
全長4615mmに達する5人乗りのスポーツファストバックという堂々とした体躯でありながら、アルピーヌらいい筋肉質で凝縮感のあるデザインはコンパクトな印象も与えます。
BEVだから両立できた多用途性とスポーツ性
『A390』の設計と製造が行われているのは、フランスの歴史あるディエップ工場。電動モーターはクレオン工場で製造され、バッテリーはダンケルクでセルとモジュールが生産され、ドゥエーで組み立てられるなど、フランス国内のエコシステムを最大限活用しています。
荷室容量も532リットルと実用性も兼ね備えているなど、電動化と多用途性を高めながらも、アルピーヌが70年以上にわたり培ってきた運転の楽しさとスポーツ性を追求し、 “運転する喜び”を電動時代に合わせて再定義したモデルとなっています。