ブランドは2028年に完全電動化へ
ステランティス傘下であるクライスラーは2月13日、次世代EVを提案する『ハルシオン・コンセプト』をアメリカで世界初公開しました。クライスラーは2025年にブランド初のBEVを導入し、2028年に完全電動化を目指すとしています。このコンセプトカーは、その新世代ラインナップを予告するモデルとされています。
現在はミニバンの『パシフィカ』のみを販売しているクライスラー。今後2028年の完全電動化に向けて改革を行い、新しいデザイン言語とともに、高度な自動運転や先進的なコネクティビティなど、次世代技術を多く導入するとしています。
シンプルでスッキリとした内外装
エクステリアは、航続距離を伸ばすべく流麗で流線型なプロポーションを持っています。フロントガラスはフード中央まで伸び、コックピットを細長くすることで、ドライバーにワイドな視界をもたらしているほか、クライスラーのウィングロゴはドライバーが近づくと点灯し、車両の充電レベルをフル、ミディアム、ローで表示されます。
観音開きのサイドドアに加え、ルーフのガラスパネルも羽ばたくように上下に開閉する仕組みとなっています。臨場感あふれる体験と乗り降りのしやすさを向上させる目的とされていますが、いずれも量産車に採用される可能性は低いでしょう。
ボディのシルバーの塗装は、持続可能性への取り組みを強調するため、クルマ全体がリサイクル金属で構成されているように見せるものです。また、キャビンの95%は持続可能素材で仕上げられ、トリムのさまざまな部分にリサイクル素材が使用されています。
インテリアは、ほぼ360度の視界によって没入型の移動環境を目指したとしています。コックピットの中央には透明ディスプレイがあり、前方に視線を向けながら、必要な情報を得ることができます。また、このディスプレイを補完するのが、格納式の15.6インチのコンソールスクリーンです。BYDのように、縦向きにも横向きにも回転させることができ、情報に素早くアクセスできるようになっています。また、拡張現実のフルスクリーン・ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)は、速度や充電状況などの重要な情報を表示。コックピットにはAIが組み込まれており、ドライバーは車両に何でも質問することができるとしています。
「STLA Brain」テクノロジーは、最新のテクノロジーや機能を搭載し、OTAアップデートを行うことで、車両を常に最新の状態に保ちます。また、ステランティスのAIシステムにより、ディーラーに行かなくても問題を診断し、OTAソリューションを受信することができるとしています。
ヨーク型のステアリングホイールは折り畳み式で、ステアリングが格納されると同時にペダルも格納されます。これにより、レベル4の自動運転が可能であることをアピールしています。ステアリングホイール中央のクライスラーウィングロゴをはじめ、インテリアにはデトロイトの音楽文化と伝統にインスパイアされたサステイナブルデザインが採用され、クラッシュ加工された素材と、音楽CDから作られた100%リサイクル複合素材を使用しています。これらにより、インテリアの95%が持続可能なマテリアルが使用されています。
将来的には航続距離の概念もなくなる
『ハルシオン コンセプト』には、ニッケルやコバルト、マンガンを使用しない800Vバッテリーが搭載され、現在の優れたバッテリーよりもカーボンフットプリントがさらに60%低いと言われています。また、ダイナミック・ワイヤレス・パワー・トランスファー(DWPT)技術によって、バッテリーはワイヤレス充電に対応。将来、道路の専用レーンを走行する電気自動車をワイヤレスで充電することで、充電器や充電コード、充電ステーションを必要とせず、無制限の航続距離での移動を可能にするとしています。
なお、このモデルは、今後発売されるEVの姿を予告するものですが、ハルシオン自体の量産化が計画されているかどうかは不明となっています。