世界横断の目的地は日本・東京!!パリから日本までの「総距離20000km越え」を、愛車のプジョー104で走破したフランス人

皆さん誰しも、男性なら特に”日本一周”や”世界横断”という言葉に胸を打たれた感じた方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。筆者もその1人です。

執筆をしながら、幼い頃に「原付でやる?キャンピングカーでやる?はたまた自転車で?」など、いろいろな妄想をしたことを思い出していますが、今回はそんな「男のロマン」を実際に行動に起こし、見事に叶えた方をご紹介します。しかも、約半世紀も前の車「プジョー・104」で。

遡ること約2ヶ月前、Xにてこんなポストが投稿されました。

画像提供:八雲㌠ さん(@Q_s8765)

「プジョー104か…今どき見ないエンスーなクルマだなぁ、ナンバーも本国な上にユーロナンバー以前のナンバープレートなんて珍しいなー」なんて思ったのですが、よく見てみると…

「後ろに映るクルマって国産車!?この画像が撮られた場所って日本!?」と、まるでダブルミーニングのような、あとから効いてくる2つの驚きを受けることとなりました。

外国のナンバーのままで日本を走られているクルマはたびたび存在していますが、ジュネーブ条約を締結している国の間であれば、その国のナンバー以外でも公道を走ることができるといいます。

その他にも公道を走行するにあたってはさまざまなルールがあるのですが、今回は割愛します。

兎にも角にも、きちんとした手続きを踏んでフランス・パリから、我が日本・東京を目指して、はるばる10000km以上も自走(=自力で走行)していらっしゃった方のお話、機会があれば是非お聞きしたい!と思っていたところ…

ステランティス・ジャパンにてプジョー・ブランドを総括している 小川隼平(おがわ・じゅんぺい)さんからお声がけいただき、”旅の終着点・東京タワーでのお出迎えを”取材させていただく運びとなりました!

◾️プジョー・ジャパンの皆様とともに、実際にお出迎えしたよ!

東京・港区の東京タワー下が集合場所ということで、7月2日に発売されたばかりの次世代CセグメントSUV「プジョー・3008」で早速向かうことに。

これからお出迎えするプジョー・104からして、数字としては”2904”もの進化です。とは言っても、プジョーの「数字の系譜」は足し算のようなものではなく、その車の車格や世代を表しているものになります。

104の”1”の文字は、コンパクトクラスを意味し、その名を冠したのはこの104が初めて。1972年のデビューから1988年まで約160万台以上が生産され、それまでのコンパクトモデルとは違う「ニュー・ベーシック」を確立した車でもあります。

そんな104で日本までドライブするなんて…究極のエンスージアストではないでしょうか。

◾️最終終着点に涙。総走行距離10000km超えのゴールに!

17時を少し過ぎた頃、その長旅の終着地についたプジョー・104とオーナーのレンさんを、ステランティス・ジャパンの小川さん、フレンチブランド事業部の手塚さん、ライターの南陽さんとともにお出迎えすることができました。運転支援機能も、エアコンも、備え付けのカーナビもない中で、10000kmをゆうに超える旅路を走破してきた104は、その傷や汚れも勲章として迫力を与え、実際のサイズよりもより大きく偉大に見えました。

◾️夢は「今回の旅を超えるワールドツアー」!?そんなレンさんが東京を目指した理由

CarBoonとしてはレンさんにアポイントがないままにご一緒させていただいた中、今回の旅についてお聞きしたいことが山ほどあったので、お時間をいただきお話しを伺いました。

ー まずは一番気になる質問を一番最初に聞かせてください(笑)なぜ「フランス・パリ」から「東京」を目指そうとしたのですか?

レンさん(画像左)と小川さん(画像右) 
プジョーのグッズをプレゼントしました。

一番は「日本が大好きだった」というところが大きかったかな。それと、ずっと”大きな旅・冒険”をしたいなと思っていたんです。その2つが合わさると、自然と目的地は東京に絞られましたね。

時代を感じるオーディオセット。どの時代も旅に色を彩りを与えるのは”音楽”なのかもしれません。

レンさんの日本愛は、この旅路の中で手に入れたというラジカセからも見てとれます。YMOや沢田研二、山下達郎など、日本のポップス文化を築いたアーティストを聴きながらドライブを続けていたとのこと。現在では改めてシティ・ポップが再評価されブームが再燃していますが、その感性が我々と近しいものであるということは嬉しいものですね。

ー パリからここ(東京)までは、どのようなルートで走破されたのですか?

おおよその地図を作ってみたので、是非みなさんもご覧ください!

フランスからベルギー、ドイツ、ポーランド、スロバキア…合計13もの国を経由し、日本の福岡に上陸したといいます。

ー 今回の旅で一番大変だったことはなんでしょう?また反対に、忘れられないほどに楽しかったことはありますか?

東京タワーを前にして涙。「東京スカイツリー」でもなく「東京タワー」のところに心動かされました。

一番大変だったことは「この旅を思い立ってから実際に行動に移して、車に乗ってパリを出発したこと」です。今回の旅のために、10年間もの間頑張って働き、できるだけお金を貯めました。一番楽しかったことは、皆さんとの出会いです。この度の途中で出会った、車や旅のアイデアに共感してくれて、応援してくれる素敵な人たちとの出会いは、忘れることはありません。

レンさんのSNSには、今回の旅路がVlogとして紹介されています。その土地の方々との交流などの様子を見ると、今回の旅の背中を押してくれる温かい人々が世界中にたくさんいることがわかり、見ているこちらもハッピーな気持ちに。

この記事をご覧の皆様も、是非各種SNSをご覧ください

【X】https://x.com/S1ck_boy

【Instagram】https://www.instagram.com/royaldeluxe_gti

【YouTube】https://www.youtube.com/@DetectiveRenan

ー この旅の中でもそうですが、やはりこの”日本”を旅する中で、大変だったことはなんでしょう。

車のテールには「大黒埠頭」の文字が。
日本で出会った”車好き”の方にいただいたとのこと。

なんと言っても「雨」と「暑さ」が本当に大変。日本に来て、ちょうど”梅雨”という時期であることを知りました。また、無料でキャンプができる場所を探したり、車を停める場所を探すことも一苦労でした。

ー SNSにて話題になったポストでは、旧ナンバーということもですが「プジョー・104」で旅を続けていることに驚いている方も多くいました。この104はどのようにして見つけ、愛車となったのですか?

画像右のヘッドライトに見えるのは”スポンジ”です。ライトの建て付けを補強しているところが、今までの旅路を想像します。

運転免許を取得した後、初めて買う車をネットで1ヶ月以上探しました。探した条件としては「手頃な値段」であることと「保険が安い」車であることでした。しばらくして、探していた条件だと”ヴィンテージカー”が安く手に入ることに気づきました。それを知った後は「なぜみんなヴィンテージカーに乗らないのだろうか?」と疑問でしたね(笑)

日本を走る上では初心者マークを貼っていたリンさん。驚きなのは、日本上陸から下見のみで上京してきたということ。

そんな中で、プジョー・104を見つけました。走行距離は4万キロ以下で、ワンオーナーの車でした。私の父がプジョー505を所有していて、小さい頃はずっとプジョーの車が近くにあったので、この104を見て当時のことを思い出しましたね。

ー そんな104のどんなところが好きですか?

シンプルなハンドル・メーター周り。
このスタイリッシュさと実用性を一番に考えたデザインは、今でも褪せることがありませんね。

このクルマのスタイルが本当に大好きなんだ!インテリアもエクステリアも、小さいけれどとても上品なんです。この旅でも実感したことだけど、修理やメンテナンスも簡単なところがすごく良くて、全ての面で気に入っています。

ー ようやく東京に到着したと思いますが、東京到着後の今後の予定はどんな感じでしょう?

とにかく寝る!!!!!(笑)でも、これからどうしようかはまだ迷っているんですよね。フランスの家に帰るか、またどこか別の国へこのまま行くか。車の輸送もどうするか決めかねています。でも、将来的なチャレンジとしてはワールドツアーをやってみたいので、その時が来るまでいろいろなことを頑張ります。

◾️とてつもない旅路を経て来たオーナーと車に感激。

今回のお出迎えを企画された、ステランティス・ジャパンのフレンチブランド総括である小川さんは、

「Xの投稿でレンさんのチャレンジを知ったのですが、私よりも古い年に生まれた旧車で、治安が良くない場所も含めて、色んなルールをクリアして東京に来られたことに心から感動していました。お伺いしたいことはたくさんあったのですが、東京タワーを見つめながら途轍もない長旅のゴールを噛み締めるレンさんの姿を拝見し、只々『本当におめでとうございます』という気持ちになりました。これからのレンさんのチャレンジも(一筋縄にはいかないと思いますが…)うまく行くように祈りそして応援しています。」

と、我々CarBoonも含め、今回のプロジェクトで”感動のお裾分け”をしていただいたことにも感激していました。

◾️50年分の進化を体験していただきました

今回の最後に、レンさんの方から「この3008を運転してみてもいいですか?」とお願いが。その答えはもちろん”Yes”。我々も是非レンさんに約50年の進化を体験していただきたいと思い、試乗を進めようと思っていたところ、自ら希望されたところに「車好き」を感じ、とても嬉しくなりました。

「まるで宇宙船を運転しているみたいだ!」。第一声に感じたのは、ここまで旅を共にした相棒とはまた違う50年の技術の進歩。愛車の104にはない”現代的な快適さ”、特にエアコンの快適さには感銘を受け、そのスタイリングやディテールまでも洗練されていてとてもクールだったと言います。特にプジョーの車を右のハンドルで運転しても、違和感がないことにはとても驚いていました。

日本・東京が目的地ということで、今回の旅路はゴールを迎えることとなったレンさんと104。今後の”さらなるチャレンジ”と”カーライフ”が充実するように、また安全に迎えられることを、その場にいた一同も祈り、今後も応援しています。

また、今後のレンさんの旅路に共感・賛同いただけた方は、是非下記のサイトもご覧ください。

【tipeee】https://fr.tipeee.com/detectiverenan

取材の最後にレンさんが一言。

「日本滞在が終わるまでお借りしたいくらいに、プジョーの3008もいい車です!!(笑)」

取材協力:ステランティス・ジャパン

構成・写真・文:濵野 晟太朗

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