本当に奇抜なの?”難解なデザイン”と言われるクルマを再評価したいのコーナー

こんにちは、セイタローです。

僕が今乗っているクルマ、ルノーメガーヌR.S.ですが、このクルマを気に入って乗っているのには訳があります。それは「速い!うるさい!かっこいい!」の3拍子が揃っているということ。クルマを選ぶ基準としては少し古いのかもしれませんが、少なくとも僕が心を揺さぶられるクルマはこの3つで判断していることが多いです。

皆さんがクルマを選ぶ時に重要視する部分はなんですか?性能?価格?デザイン?今回はデザインのお話です。よくクルマの媒体を見ていると「個性的なデザインのクルマ○選」や「ブサイクなクルマを集めてみた!」などの記事がたくさんありますよね。クルマの媒体だけではなく、ファッション誌などでも多く取り上げられているネタです。

「個性的なデザインって言われてもそれは人それぞれやん!」と思う気持ちは置いておいて、今回はそんな「難解なデザイン・個性的なデザイン」と揶揄されるクルマたちを、CarBoon的に再評価してみない?という企画です。

おそらく、クルマ好きの皆さんの脳内には、いくつか候補が上がっていることでしょう。脳内に浮かんでいるそのクルマ、確実に出てきます

1.フィアット・ムルティプラ

初手から大将の登場。『世界一醜いクルマ』として名高い「フィアット・ムルティプラ」です。なんでこのクルマが世界一醜いクルマとしてピックアップされたのかは知らない人もいるのではないでしょうか?

自分に正直なイギリスのコラムニストたちが、The World’s Ugliest Car(世界一醜いクルマ)として認定したのがこのクルマ。その紙の中では「蛙のような顔」「やぼったいライト」「カバみたいな顔!」と比喩しています。カバなのかカエルなのかハッキリしていただきたいところではありますが、しまいにはフィアットのデザイナーでさえも「このクルマを運転することに関しては素晴らしいポテンシャル。車内でそのクルマを感じているだけで言うとね!なぜなら、その醜い姿を見ることがないからね!ハハ!」とコメント。

デザインについては上記のように賛否がありますが、一周回ってこだわりが強い方々に人気のあるイメージがあります。僕自身もこのクルマをドライブすることになんら違和感はありません。正直カッコいいとは…あんまり?

このクルマ、CarBoonでもピックアップをした時にお話をしたのですが(下にリンクを貼っておきます)広い全幅からくる居住性の良さが取り柄。以前企画で「ムルティプラ男4人房総半島ドライブ」というものを行った際のクルマがムルティプラでした。企画自体は凄く面白いものだったのですが、演者の僕たちが緊張しすぎて面白くなく、その企画は完全にお蔵入りしてしまいましたが…(笑)

6人乗りで考えられている室内は、前席3名×後席3名の配分で、全ての座席が独立している上に、十分な幅が確保されているので、満席で出かけても観光バスや新幹線の座席のように座っているのが苦ではありません。

デザインは置いておいて…というと、この企画の元も子もないのですが、そのパッケージはミニバン大国日本のクルマたちに引けを取らないものではないでしょうか、評価としては高めです。

ただ、個人的にこの際言っておきたいことが1つ。このあとに出た”マイナーチェンジした後”のムルティプラのデザイン!

なんて普通のクルマになってしまったのか!!!

…いや、マイナーチェンジをする前が個性的すぎるけど、普通のクルマとしてみれば”人面車”のようで、かなり奇抜か…?いい意味の「アクが強い」デザインは継承されていて、これはこれでいいのかも。僕、実はムルティプラの魅力に取り憑かれているのかもしれない…。

過去のムルティプラ記事は以下のリンクから!

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2.ランチア・テージス

僕個人的には「なんでこのクルマがピックアップされているのさ!!」という気分なのですが、一般的に見たらこのクルマも”カッコ悪い”部類に入ってしまうのでしょう…。

デザインのベースとなっているのは、1998年のトリノモーターショーで展示されたコンセプトカー「ディアロゴス」。当時経営が落ち込んでいたランチアの「起死回生の一手」として、ランチアチェントロスティーレ(フィアット社ランチア)が、特徴的なデザインの同車を展示しました。それから3年の月日をかけ改良を重ね市販されたのが、この”テージス”です。

こちらが”ディアロゴス”。ほとんどの意匠は市販車にフィードバックされています

三角の形のヘッドライトや、観音開きのドア、縦長のテールランプなど、攻めたデザインが散りばめられているなかで、ランチアの歴史を語る上で外せない「ランチア・アウレリア」の意匠を模した、印象的なフロントグリルなど、伝統の継承を表現しているクルマでもあります。

このクルマに対しての評価は「フロントのデザインがげっ歯類みたい」「前後の見た目にギャップがあってバランスが悪い」というものが多いみたいです。

えー、僕はめちゃくちゃ好きなんだけどなー…(笑)

その時までのランチアが築いてきたデザインを継承し、現代風にクラシカルな雰囲気を上手に表現していると感じます。こちらのクルマも、一度プライベートで運転させていただいたことがあるのですが、思っていた”イタリア車”のイメージとは違い、いい意味で裏切られた気分になった思い出が。一言で表すのであれば「爺や」のようなクルマでした。分かりづらい表現だと思いますが、どんな道でもどんな状況でも安心感があり、淡々と目的を遂行する懐の深さを感じた1台。

このクルマはランチアのフラッグシップとして、メルセデス・ベンツでいうEクラスのような位置付けにあるクルマですが、そんなにお高くまとまっている雰囲気もなく、ただ英国車のような風格のある、不思議なクルマでした。

僕個人的にはかなり高評価。デザインだけをとってもかなり好き。

3.三菱・ミラージュディンゴ

“某ポケットなモンスター”に出てきてもおかしくないフロントフェイスをしている、このミラージュ・ディンゴ。同社のRVRが「コンパクト・トールワゴンの元祖」として登場し、その後釜として登場しましたが、なんともいえないそのデザインと裏腹に、充実した実用的な装備がたくさん散りばめられていたクルマなのです。

1999年1月に登場したミラージュディンゴですが、前述の「コンパクト・トールワゴン」の流行を予見していたといっても過言ではないほどに、タイミングよくこのクルマを市場に送り出しました。主に大都市圏などの”駐車場不足”からくる複数台所有が難しくなっていた背景などから流行の兆しがあったジャンルで、実際にその後『日産・キューブ』や『トヨタ・ファンカーゴ』『ホンダ・キャパ』など、ハイトがあり十分に人も乗れるクルマが一定の市場を獲得したのです。三菱は「スマート・ユーティリティ・ワゴン」として売り出していました。

後期顔になってからそのフロントマスクのインパクトは薄れてしまいましたが、当時の評価では「初対面ではあまりのブサイクさに爆笑したが、今見ると抱きしめたいほどカワイイ」「このダメすぎる風情が、守ってあげたい気持ちにさせる」と、前半の2台と比べてのポジティブな評価が見えますね。

一周回って可愛いからいい!「乗りたいか」と言われると、どちらかといえば「愛でたい」クルマかも?

4.日産・ジューク

日本車で個性的なクルマをピックアップするとかならず1台はこのクルマがあがってきます。日産・ジュークです。その“一度見たら忘れない見た目”とは裏腹に、好調な売り上げを見せ、街中で走っている姿を1日に1回は見るほどに受け入れられている印象です。

2010年に「コンパクトスポーツカー+SUV」というコンセプトで、今までになかった新しいジャンルとして日産が打ち出したクルマがこのジューク。今でさえ、走れるコンパクトSUVという部類でいうと「トヨタ・CH-R」や「マツダ・CX-3」、「ホンダ・ヴェゼル(初代)」など、他メーカーでもさまざまな選択肢がありますが、当時ではまだ新しかったといえます。

コンセプトモデルである「カザーナ(QAZANA)」ほとんど市販型と言っても過言ではないくらいのデザイン

実は、2009年のジュネーブモーターショーで、ジュークのベースとなったコンセプトカーが発表されています。その名は「日産・カザーナ (QAZANA)」。ジュークを知っている状態でこのコンセプトを見ると、あぁジュークだな…と感じると思いますが、カザーナだけを見た際の第一印象は「この奇抜なデザインは市販を意識して作っているモデルなのか!?」と思う人も少なくなかったことでしょう。

そのフロントフェイスは、尖ったライトの下にオールドスタイルな丸型のライトがこさえられていて、今までクルマのデザインでは出会ったことのないスタイリング。エイリアンと揶揄する人もいますが、4つあるライトのうち、下の丸型ライトが正規の“ヘッドライト”扱いなんです。現在2023年のクルマでは、上部の鋭い形をした方のライトのようなデザインが多いので、実際には上じゃない?と思う方がいても間違いではないのですが、法規的な問題で、フロント上部にあるライトはメインのライトとして採用できなかった背景があるということ。

ジュークについて取り上げているいくつかの媒体では「苦肉の策として下に丸型ライトを入れ込んだ」と書いているところもありますが、前述のコンセプトモデル”カザーナ”を見てみても、意匠として狙っているデザインと受け取れそうです。

当時としては前衛的なデザインな同車。先ほどライトの話題が出ましたが、ジュークのハイパフォーマンスモデルである「ジューク・ニスモ」ではデイライトも追加されるので、フロントから見ると“6つ”ものライトが光って見えます。そんなクルマありますか?ジュークがあるんです。

6灯ライトです、迫力がスゴい

日産は、ジュークのパッケージを「下半身は逞しいSUV、上半身はスポーツカー」と説明していて、奇抜なエクステリアだけではなく、走行性能に関しても『スポーツSUV』を名乗る上でも恥じない味付けにしているとのこと。性能面でも気になるクルマであることは確かなのですが、今回はエクステリアに絞っているために、試乗記などは、他媒体の記事をご覧ください。

僕は人生で一度も乗ったことがないのですが、読者の皆さまの中でオーナー様がいらっしゃいましたら、是非教えてください!個人的なジュークの評価としては「そんなに否定しなくてもよくないか…!見慣れたら好きだぞ!」という感じ。日産・キューブ(2代目)や、日産・マーチ(3代目)のように、かのカルロス・ゴーンが同社を立て直そうとした際にアウトプットされたプロダクトのような「攻めている」印象があって好きです。

奇抜なクルマでも、いいところはあるんです

いかがだったでしょうか。さまざまなメディアで”醜いクルマ”としてピックアップされているクルマたちを再評価していこうのコーナーでしたが、実はどのメディアさんも同じようなラインナップで「大衆的には同じクルマがおブスに見えているのだなぁ」と感じました。CarBoon読者の皆さんは、熱狂的なクルマ好きから、ライトなクルマ好きまで、たくさんのカーファンがいらっしゃると思いますが、是非一堂に介して「このデザインは奇抜だなぁ」という話題で盛り上がってみてください。

最後に、僕が奇抜でいいなぁと思うクルマを一つあげておこうかな…それは…

いすゞ・ビークロス!!!

なんですかこの愛くるしいフグのような顔は。1997年に販売されたこのクルマ、巷では「時代を先取りしすぎたデザイン」と言われているみたいですが、2023年現在でも未来感のある宇宙船のようなデザインで、未だに先取りしているのではないか?とも思います(笑)

自分が今SUVを買うならこのクルマかな〜、現在手に入れようと思うと他にもいろいろな選択肢のクルマが出てくると思いますが、自分がこだわって「いいな!」と思えるクルマに乗りたいものですね。

では!

(企画・編集) セイタロー

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Editor

セイタローのアバター セイタロー 代表/編集長

CarBoonを含め、自動車関係のウェブサイトをいくつか運営してたり色々やってる大学生です。1つはカテゴリ日本一だったりします。
物心ついた時から車好きで、現在の愛車はルノーメガーヌR.S.。