こんにちは、Canalです。
フェラーリやマセラティなどと並び、イタリアを代表するスーパーカーメーカーであるランボルギーニ。Carboon読者の皆さんなら1度は憧れたことがあると思います。
ランボルギーニで、現在注目されているクルマといえば…?
V12エンジンと3基のモーターを組み合わせ、1000psオーバーの最高出力を叩き出す最新モデル「レヴェルト」です。
この見てくれで、どのメーカーと比べても最新のハイブリッド技術を搭載している、究極のハイブリッドスーパーカーであるレヴェルトですが、今から20年以上前に、大排気量でハイパワー、ザ・漢な超古典的なスーパーカーが誕生しました。
今回ご紹介するのはそう、ディアブロGTです。
市販モデル最強のディアブロ、ディアブロGT
そもそも、ディアブロGTのベースとなった”ディアブロ”は、スーパーカーブームの火付け役であり、スーパーカーの金字塔ともいえる「カウンタック」の後継車として発売。
当時の記録では世界最速の量産車と言われ、その最高速度325km/hにも及びました。
“ディアブロ”のデザインは、「カウンタック」や「ストラトス」などのスーパーカーのデザインを多く手掛けた、マルチェロ・ガンディーニによるもので、当時の親会社であるクライスラーのデザイン部門が一部修正を行って完成させました。
その後、2001年に「ムルシエラゴ」にバトンタッチする形で生産が終了し、今でも根強いファンが多い一台となっています。
ディアブロの簡単な説明をしてきましたが、本稿の主役の”ディアブロGT”は、1999年、モデルライフ終盤に生産台数わずか80台の特別なモデルとして発売。
この特別なモデルは、「GT2レーシングカー」の技術を活かしたハイパワーマシンとして、市場に投入されました。
エンジン
まず、”ディアブロGT”の最も重要な要素であるエンジンについて。この車に搭載されているのは、V12 DOHC 48バルブエンジンです。排気量は、通常の「ディアブロ」の5.7Lから6.0Lに拡大されており、通常モデルのディアブロの『492ps/7,000rpm』『59.1kgm/5,100rpm』や、高性能モデルである「ディアブロSV」の『530ps/7,000rpm』『58.0kgm/5,200rpm』を大きく上回る『575ps/7,300rpm』の出力と、『64.3kgm/5,500rpm』のトルクを発揮しました。
このエンジンが目指したのは”究極のパワーを追求する”こと。
軽量タイプのクランクシャフトやチタン製コンロッド、さらにはマグネシウム製インテークマニホールドなどが装備されていました。エンジンヘッドカバーは金色のマグネシウム製で作られており、その存在感が際立っています。ディアブロGTのエンジンは、高性能と耐久性の両方を追求するため、精緻な設計と素材の選定が行われていたのです。
さらに、エンジン本体のチューニングだけでなく、吸排気系にも大きく手が加えられていました。ディアブロGTには、特別に新設計された吸気可変バルブやカムが搭載されています。これにより、エンジンの性能を最大限に引き出すことに成功しました。
軽量化
エンジンの性能が素晴らしいディアブロGTですが、軽量化にも注力されていました。
ボディに関しては、ルーフとドアを除く部分が、カーボンファイバーで作られているため、車重は1490kgと、通常モデルの1650kg、SVの1530kgを大きく下回る車重を実現していました。その結果、車の重量と最高出力の比率を数値化したパワーウェイトレシオは、現代のスーパーカーにも劣らない数値である、2.59を記録。
実際、この数値は、現行の「日産GT-R NISMO」よりも低い数値なのです。
このような軽量化の取り組みによって、優れたパフォーマンスと操縦性を実現。高性能化されたエンジンと軽量なボディの組み合わせによって、ディアブロGTは最強のディアブロとなったのです。
デザイン
デザインについては、前述のとおり、ガンディーニが手掛けたことで知られているディアブロですが、ディアブロGTでは外装も大きく変更されています。
デザイン上のフロントの大きな特徴は、大型オイルクーラーやフロントフードのエアアウトレット、そしてフロントフェンダーなどが挙げられます。特にフロントフェンダーは、サスペンションのジオメトリーの変更に伴い、トレッド幅が1540mmから1650mmに。ワイドに拡大されたことに対応させるために設計されました。
リヤでの特徴でいえば、大型のリヤウイングと大幅に形状が変更されたリヤバンパーが挙げられます。ディアブロGTは名前こそ「ディアブロ」と名乗っていますが、実際には専用設計のパーツだらけです。
これにより、ディアブロGTは独自の外観と個性を際立たせています。
しかしながら、内装は最近のスーパーカーのような華やかさは一切ありません。
メーターパネルやセンターコンソールなど、随所にカーボンが使用されていますが、煌びやかな雰囲気とは無縁です。
また、前述したように、外装にエアダクトやリヤウイングが装着されている影響で、後方視界が最悪となったディアブロGT。
ですが、実はこの後方視界を改善させるために、リヤウイング中央部にカメラが装着されているのです。車内には通常のルームミラーの代わりに、カメラ映像がインパネに映し出されています。これにより、後方の安全を確認できるようになりました。
まとめ
ここまで、いろいろと”ディアブロGT”について紹介してきましたが、この車の魅力は古典的なスーパーカーでありながら、一級品の戦闘力を持つ最後の世代の車であることではないでしょうか。
ディアブロGTが販売されていた当時のライバルのスーパーカーを挙げると、「フェラーリ・550マラネロ」「フェラーリ・360モデナ」「ポルシェ・911GT3 (996)」「アストンマーティン・V12ヴァンキッシュ」などがあります。これらのスーパーカーと比べると、”ディアブロGT”という車、ちょっぴり古典的なんです。トランスミッションは6MTやシーケンシャルが主流の当時で、5MTでしたし、流麗なデザインの当時のスーパーカーと比較すると、獰猛で猛々しい、ワイルドな雰囲気を”ディアブロGT”からは感じることができます。
私はこのデザインにこそ、”スーパーカー”という雰囲気を感じます。そして、その魅力が今もスーパーカーファンに愛されている理由なのかもしれませんね。