こんにちは、Canalです。
ここ最近、C3やベルランゴの人気により、世間的な知名度が上昇してきているシトロエン。かわいらしいデザインと軽快な走りが人気の要因の一つで、老若男女・男女問わずその魅力に取り憑かれるユーザーが増えている印象があります。
そんなシトロエンがフラッグシップモデルとして、2005年に市場へ投入したクルマが、今回のテーマでもあります『シトロエン・C6』です。
2005年に発表されたC6は、シトロエンを象徴するような流線的かつその前衛的なデザインから、当時からさまざまな視点で注目を集めていたことは、鮮明に覚えているイタフラフリークの方も多いのではないでしょうか?
最近では「10年以上ぶりのフラッグシップ」ということで”シトロエン・C5X”が発表されましたが、そのC5Xよりも一回り大きなサイズのフラッグシップモデルであり『シトロエンの歴史を語る上では外せない1台』といっても過言ではない”シトロエン・C6″をご紹介します。
シトロエン C6 ヒストリー
シトロエンの戦艦モデルの”C6″が発表されたのは2005年3月のジュネーブショーですが、そのデザインが公開されたのは、6年遡った1999年のことでした。同ショーにて、コンセプトカー「C6リナージュ」が発表されたのです。
当時モデル末期であった「XM」の後継モデルとして、企画されたC6リナージュ。ドアが観音開きである点など、実際に発売された”C6″とは異なる点もありますが、全体のフォルムやシルエットは、市販モデルと同じである、と言っても過言ではありません。今から約25年前に、既にC6の美しいデザインがほとんど完成されていたと考えると、驚くしかありません。
その6年後の2005年3月に市販モデル”C6”が発表、同年12月に欧州で販売が開始されました。
日本には、2006年10月に販売が開始されました。欧州ではディーゼルエンジンのラインナップもありましたが、国内では同じくシトロエンの「C5」や「プジョー407」に搭載されていた、3.0Lガソリンエンジンのみがラインナップされました。その後、2010年に日本での販売が終了し、欧州では、その後も販売されていたものの、2012年12月に生産が終了しました。後継車として「DS5」がフラッグシップを担うことになりましたが、ビッグサイズのシトロエンとしては、一度終止符を打ちます。
ちなみに、中国市場でのみ、2016年から2代目の”C6”が販売されていますが、そこには初代モデルの面影はありません。
残念ながら、約7年間のモデルライフで人気を獲得することはできず、生産されたC6の総数は約2万台強。
ヒット車にはなれなかった”C6″ですが、現在でも根強いファンの多い一台です。
大衆を虜にする、C6の”魔性さ”
シトロエンの高級サルーン”C6″。この車の魅力はどこにあるのでしょうか。
「DS」「CX」「XM」に次ぐ、フラッグシップとして発売された”C6″。”C6″は、歴代のフラッグシップモデルと同様に、シトロエンの伝統的な技術である油圧サスペンション「ハイドラクティブⅢプラス」が採用され、「走り」よりも、「快適性」に重きを置いた車である点が特徴的でした。
「ハイドラクティブⅢプラス」の特徴は、人数や荷物の量に関わらず、車体をいつも均等な高さに保つセルフレベリング機能があること。車高は4段階で上下に調節することができ、110km/hを超えると、車高が自動的に最低状態に落ちる仕組みになっていました。
加えて、前モデルから進化したアクティブサスペンションは、4輪の動きをそれぞれリアルタイムでダンピング制御を行うことができるようになりました。これらの技術により、ハイドロ・シトロエンの快適な乗り心地を比喩した「魔法の絨毯」という言葉が生まれたのです。
私は過去に、ハイドロサスペンションを搭載した「BX」と「C5ツアラー」を運転させていただいく機会がありましたが、独特のふわふわとした乗り心地は癖になるものがありました。最初に運転させてもらった時は、自分の車との乗り心地の違いに衝撃を受けました…。
また、”C6”は、そのデザインもかなり特徴的です。この車のデザイン、他の車と似ているところが一つもないですよね。非常に長いフロントオーバーハングと2900mmの長いホイールベース、テールライトまで続く長いクォーターウインドウによって、サイドビューが非常に美しく、伸びやかなデザインになっています。サッシュレスのドアも、この印象に繋がっているように感じます。
さらに特徴的なのがリヤです。リヤのテールライトのカタチや凹型に曲線で湾曲したリヤウィンドウ、それに合わせて湾曲したトランクリッドなど、個性爆発です。
ちなみに、トランクリッドには電動の可変スポイラーが隠されています。65km/hで1段階、125km/hで2段階上がるようになっているんです。高速での直進安定性もバッチリですね。
デザインが特徴的なのは外装だけではありません、内装もかなり特徴的。フラッグシップモデルなので、高級感があるのはもちろんですが、かなり凝ったデザインがなされています。
インテリアのデザインコンセプトは「テクノ禅」。インパネ周りは、水平基調でデザインされていますが、すっきりとしたデジタルのメーターパネルや、センターのカーナビ及び、マルチファンクションディスプレイにより、テクノ感を演出。
一方で、ドアポケットやシート表皮、コンソールなどに半円を用いたデザインは、日本庭園をモチーフにしたとされています。質感の高いウッドパネルも相まって、フランス車でありながら、見事に”和”が表現できているように感じますね。