【豪雨の中の2連勝】”グランツーリスモ”から”リアル”に挑戦してみた #5

こんにちは、セイタローです。

皆さまは「e-Sports」というものをご存知でしょうか。ご存知でしょう。

“趣味”や”道楽”として楽しまれていたゲームというものが、今や職業として社会的に普及し、認められつつあります。

さまざまなレーシングシミュレーション出身の『バーチャルドライバー』が、リアルなレーシングドライバーに転向する例も多くあり、“夢へのルートが多様化し始めている”現在に、CarBoonではバーチャルレースからリアルレースにチャレンジする1人のドライバーに注目し、密着を行うことにしました。

過去の密着記事は、以下のリンクからご覧ください!順を追って見ていただけると「CarBoonで見ていた仲間の成長」を一緒に見届けることができます。是非!

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角間 光起 (カクマ コウキ)

2002年4月28日生まれ、神奈川県出身。WRF所属。ハンドルネームは”ワイパーさくら “。

クルマ好きだった祖父の影響で、物心ついた時からクルマ好きとして育つ。2019年に開催された「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」では、神奈川県代表選手として活躍。2021年にはJeGTに出場し、その後e-Sportsチームに加入。

グランツーリスモを中心にさまざまなレースに参戦するとともに、今年からリアルレースに挑戦する。

難しいコンディションを制し2連勝。初の雨で見せた”真の強さ”

ーまずは2連勝おめでとう!!やったね!!

やりました!めっちゃ嬉しい!!(笑)

ー今回のコンディション、恐らく初の大雨で凄く難しかったと思うんだけど、前日の練習日も雨だったよね。セットアップ的には決まっていたのかな?

ーそうです、前日も雨だったのですが、3本走行のうち最初の1本だけ大雨で、それ以外はほぼドライの状態で走れていました。

レース日の天気予報が50:50で、凄く微妙な感じだったんですけど、実はセッティングに関して少し裏話があって…

ーほうほう

実は僕ら、雨のセッティングを持っていなかったんです(笑)練習日には完全にドライのセッティングを持ち込んでいて。

今までレインコンディションで練習したのも1回しかなくて、それも2月の寒い時期だったんですけど、それ以外に走った経験がなくて、チームとしてもどうしよう…となって。

ーそうだよね、翌日のレース日も雨の可能性があったから、3本でセッティングをある程度まとめないといけなかったってことだ。

でも結局、最初の1本しか雨で走行することがなくて、翌日の方針が練習走行のタイミングでは煮詰まっていなかったです。

少なくともドライセットで走るよりかは、その2月の時のセットの方が”まだ”走れるなとなって、その時のセットに戻して走ってみよう!となりました。やっぱりドライセットだと曲がらないし全然タイムも出なくて…

なので、ほぼほぼぶっつけ本番で翌日の予選に挑んだ感じです(笑)

ーそうか、1本目は雨でドライセットで走っていたんだね!ぶっつけ本番って不安じゃなかったの!?

いや、めっちゃ不安だったんですけど、前日の夜に前田さんとオンボードを見ながら作戦を練っていた時に「全然クルマは曲がっていないのはタイヤのせいでもあるから、タイヤがよくなればタイムも出てくると思うよ」と言われたので、それを信じていました。

ーその後の2本はドライだったってことだけど、そこではドライ用セットは煮詰められた?

この上ないくらいに完璧なセットが出たんですけど、翌日は案の定大雨で「おい〜…」って(笑)

前日の深夜にも天気予報を確認したら、予選は晴れて決勝は分からないって感じだったので、どうなんだろうと思っていたんですけど、予選も決勝もヘビーウェットっていう…

まぁでも、前田さんは行けるって言ってるし!行けるか!という感じでした。

ー雨の走行には慣れた?箱車(市販車)とフォーミュラでは全然違うのかな?

そうですね、元々雨で走ったのもドライ用のセットだったし、チームでも「今回は雨に慣れよう!」ってくらいの感じだったので、タイムを気にせず伸び伸び走れたから、かなり慣れたかな

走行枠は1枠20分なんですけど、その走行の中で、雨で速いライン取りを自分で見つけたんです。こうやったら速いのか!っていうのを自分なりになんとなく理解して、予選の雨の時に応用させてみたら上手くハマって、それでポールを取れたかも!って感じだったかな。

はじめてのクラッシュ

予選でポールタイムを出したあとにトラフィックに引っかかってしまって、他のマシンに譲ってもらったんですよ。ありがとう!って思って「この周まとめてやるぞ!」と気合いが入っていたんでしょうね、恐らく(笑)

ダンロップコーナーで右側に巻いた形でスピンしてしまって…、スポンジバリアに突っ込んでしまったんです初めて

ー初のクラッシュというクラッシュだったってことか…結構動揺した?

めちゃくちゃ動揺しました、「これはやばいって…初めて刺さったんだけど…」と…(笑)

予選のタイムよりも決勝を走るということが最優先だったから、真っ先にクルマの状態のことが頭をよぎりました。

ー体もなんだけど、クルマは大丈夫だったの?

戻ってきた時にすぐクルマを確認してみたら、フロントウィングの翼端板が外れていて、ウィングのベースが少し曲がっていたり、恐らくアライメントも狂ってしまってハンドルセンターがめちゃくちゃズレてしまっていました。

ピットに戻ってきて、メカの人が寄ってきてくれた時に「このままアタック行く〜?」って言われた時には「この状態で行っていいの!?」って思いましたけど(笑)

ー予選のタイム的にはその前の周、つまりトラフィックに少し引っかかってしまった」周のタイムが有効タイムだったってことだよね!個人的にはこなしたタイムって感覚?

いやでも、他マシンに引っかかっていたこともあって、もうちょっと行けるかな?って感じだったかな…あとコンマ3秒くらいは縮められるな!って感覚で

多分、気分が空回りしていたんだろうな〜…ピットに戻ってきた際に「今ポールタイムだよ!」って言われて確認したら、2番のマシンともコンマ3秒で離れていたから、大丈夫かもって思ってマシンを降りました。でも、残りの時間は抜かれないか相当不安でしたね。

ークルマが決勝までに間に合って本当によかったね…メカニックの方々もかなり頑張ってくれたのか

恐らく、翼端板も他のチームからお借りしたりとかで、メカの方が駆け回ってくれて、決勝走れるようになったので本当に感謝でした…マシンがそんなに壊れていなくて一安心でした。

ー無事予選ではポールを獲得し、決勝はフロントローからのスタートになったよね。レース展開を考えた時には、結構自信あった?

正直、自信はありましたね。でも、今までのレース展開を考えた時には案外余裕を持って走れるなと思っていたんですけど、最終戦だけスポット参戦されている選手が予選で上位にきていて、想定と違うなと思っていました。

ー(他のウェブサイトのレポートを見ながら)『ポールシッターである角間の蹴り出しがやや弱く…』って書いているね!

あれ、やや弱くじゃなくてガッツリ弱いんだよな…自分のマシンだけ止まっているんだよな…クルマが明らかに進んでいないんだよな…(笑)

ースタートの時の映像がSNSに上がっていたのを見たんだけど、それが結構ピット側に寄っている構図で、これ前戦同様に1コーナーまでで並ばれる形か!?って思ったんだけども…

そうですね、完全にスタートを失敗してしまったのでそのような形に…。

元々雨だと”2速発進も使う”という話を、代表の前田さんと小村選手に聞いていて「それが使えるのか!」と思いました。

フォーメーションラップの際に練習したんですけど、その時には凄く感触がよくて「これ使えるな!行けるな!」と自信があったんですけど、いざ本番やったら全然加速しなくて「えっ!?えーっ!?」ってなってた(笑)

ストールはかろうじてしなかったんですけど、全くクルマが進まなくて「これやばいかも!?」って思って左を向いてみたら3台くらい並んでいたんです。終わった…って思って…

ー1コーナーの段階で4ワイドになってたよね

そうです4ワイドで…コーナーを抜けるまでの間で3台のマシンにまくられて、内心凄く焦っていました。

1コーナーの立ち上がりまではずっと4ワイドだったんですけど、イン側のマシンがスピンしてしまって。

混戦の中で他のマシンも失速気味だったこともあって、最終的にはダンロップコーナーまでで、もう1ポジションアップの2番手まで盛り返すことができました。そのあとセーフティカーが入って隊列が一度リセットされたって感じですね。

ーヒヤヒヤしてたでしょ?

正直「やべぇ…」って感じでした(笑)オンボードがあったら是非見て欲しかったんですけど、1ヘアピンで仕掛ける際には、普段絶対縁石は絶対使わないんだけど、焦りすぎてガッツリ使ってて、ここで抜かないと!という気持ちが現れていたと思います。前田さんにも絶対に使うな!って言われていたし…。前田さん、ごめんなさい(笑)

ウェービングって効くの?

ーフォーメーションラップの際やセーフティカーが入った際には、みんなウェービングしてたね!素人疑問なんだけど、ウェービングってやっぱり効いているの?レースを知らない人などは、なんでクネクネしているんだろう…って思うと思うんだけども

僕はずっとシミュレーターの方をやっていて同じことを思っていたんだけど、実際S-FJに乗るようになって顕著にわかるようになったと思います。こんなにタイヤの温度で変わるんだなと!

ただ、今回のコンディションだとあんまり意味がないくらいにタイヤが冷えてしまって…予選の際も、1回でもピットに入ったりクーリングを挟んでしまうと完全に冷え切ってしまって、アタックできる温度帯まであげるとなると、2〜3周ほど使わないとグリップしないくらいになってしまうので、とにかく温めるのに気を使わなければいけなかったです。

ーこれは少し余談になってしまうかもしれないんだけど、最近、僕「MFゴースト」って漫画をよく読んでいて、その中の描写に「左のリアタイヤをあとどれくらい上げれば…」みたいな表現があるんだけど、実際にそんな感じでピンポイントにタイヤを温めたりすることはあるの?

これは僕の経験談になってしまうんですけど、その描写のように細かい内圧の調整はしたことがなくて…でも、逆にどこを温めすぎているのかは分かるようになりました!

筑波サーキットって基本的には右回りのコースなので右のコーナーが多いんですけど、左に思いっきり荷重がかかり過ぎてしまう、かつ速度の乗る右コーナーである「最終コーナー」では、時たま左のリアタイヤがグリップを失って、マシンが外に飛んでいきそうになる時があるんです。そういう時は「加速している時にタイヤを使い過ぎてしまっているのかも」とか「そもそもタイヤがダメになってしまっているのか」ということを感覚で感じで、コーナーの立ち上がりをタイヤの負担が少ない走らせ方などに変えてたりしますね…。

本当にトップのドライバーさんだと、MFゴーストのように”どれくらいまで内圧をあげて…”というコントロールをして、レース中にでもベストなパフォーマンスで走れるようなマネジメントをしているはずです!

ーコンディションをハンドルとお尻から感じることが重要ということだね、そのセンサーを研ぎ澄ませるプロってすごい…

今回は特に雨のコンディションで、路面も一周ごとに刻々と変わるからすごく難しくて、その都度走り方を変えないといけなかったから、本当にセンサーが大事だなって実感したレースでした。

でもそのセンサーって、S-FJに乗り始めてから磨かれてきたというか、実際に自分のルーテシアとか箱のクルマに乗った時にも感じるようになって、凄く「クルマの解像度」が上がったイメージです。

タイヤマネジメント。

よくモータースポーツを見ていると、雨が降っているか微妙なときにレインタイヤを履いているマシンとかは、タイヤを冷やす為に「濡れたところ」を好んで走っているシーンがあると思うんだけど、今回のレースでは意識して走ったりしていた?

全然覚えてないんだけど、無意識に走っていたと思います(笑)

明らかに乾き始めてから、タイヤの表面が動く感覚があって。わかりやすくいうと…なんだろうな…ムニュムニュするというか(笑)

毎回毎回アプローチが変わっていく中で、タイヤが持たないのはマズイなと思って、バックストレートとかはレコードラインを外して、濡れているところをあえて走ってみたりとかとか、いろいろ試行錯誤して走っていました。

ーそういうのって顕著に効いているのは分かる?

聞いているんだと思う!実際にレース中のラップタイム的に自分だけペースをあまり落とさず走れていたから、そういうところでマシンのセットアップとか試行錯誤していたこととかも効いていたのかなって。

ーその後、後ろの方でクラッシュがあって赤旗中断、SCからの再スタートになったと思うんだけど、その時のスタートは1番手からだったんだ!

レースとしては1周も走っていない状態での赤旗だったので、隊列は予選の時の順番に整列して、なおかつローリングスタートでした。あの第1コーナーのヒヤヒヤから考えると、凄く展開的には救われました…直前までタイヤを温めて結構有利な状態でスタートできたのは、その後のペースにも繋がったと思います。

ーその後もいいタイムで周回を続けていたよね、でも途中1周めちゃくちゃタイム落ちてない?この時、なんかやらかしたり…?

バレてますね、完全にやらかしました(笑)

後ろもそこそこ離れてきたタイミングで、ちょっとアタック気味で走っていたら、縁石に乗ってしまったり、コースにできた川に乗ってしまってフルカウンターを当てたりと、いろいろチョンボしていました。その後落ち着かなきゃと思って走った周が結局レースのファステストで、複雑な気持ちでした(笑)

ーレースの周回的には赤旗やSCがあったから短かったよね!

そうですね、個人的には「もう終わっちゃうのか~」って感じでした。イレギュラーなことが結構起こっていたので、自分でもあんまり今何周走っているのかはわからなかったです。

チームも混乱していたのか、恐らく(分からなかったので)ファイナルラップのときに、チェッカーがホームストレートで出ているのにも関わらず、ピットのサインボードでは「残り1周」の表記で、「どっちどっち!!?」って一瞬混乱しました(笑)

後続を大きく離してチェッカー

ーいろいろなトラブルや波乱があった中での2連勝、ゴールした時はどうだった?2回目の優勝なわけで、前回勝った時よりも余裕はあった?

嬉しいのもあったけど…正直落ち着いてました!チームの人もちょっと慣れている感じがあって(笑)

ー慣れていいのか!?(笑)でもそれって勝って帰ってくるという信頼があるってことでもあるよね!

そうだったら嬉しいですね…前は直前まで勝てるまでわからないようなレース展開だったんですけど、今回は速い自信もあったし、勝てる”かも”ではなくて、勝てる自信があったので、それが現れていたかな?と思います。

ー僕ら側も「勝って当たり前」とは思っていないんだけど、それでも強い角間くんをここ数戦で見ているし、波に乗っている感じは凄い感じる!かといってそれに自惚れていないところが凄くカッコよさを感じるな

シーズンが始まる頃は想像もできなかったけど、今の俺なら勝てる!という自信が常に持つようになりました。

ー次のレースは日本一決定戦だけど、気負い的にはどうだろう?今までのコースとは違うところで、今まで勝ってきた猛者もエントリーするという部分でいうと、S-FJの直近の勝者であるという見方もできるよね。

そうですね…もてぎに関しては、他カテゴリでは数回、S-FJでは一度も走ったことのないコースで、サーキットの形はわかるけど攻略的には分からないことだらけです。

恐らく練習する時間も全然取れない中で挑むレースになるので、自信はあんまりないんですけど、筑波で2連勝したことも自分の背中を押していますし、チームとしてもメカニックと前田さんに安心して気持ちと身を預けられるから、そういう意味では自分がなんとか頑張れば結果も付いてくるのかな?と思っています。

ーこの写真、めっちゃ良くない!!これは打ち合わせ済みだったの?(笑)

そう、予選始まる前かな…メカの人と「シャンパン、前田さんにぶっかけようぜ!!」って話をしていてコッソリ!

表彰式が始まったときには、有言実行で前田さんを表彰台まで押してて…若干前田さんも察していました(笑)

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(企画・執筆・編集)セイタロー

(写真提供)横田康志朗

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Editor

セイタローのアバター セイタロー 代表/編集長

CarBoonを含め、自動車関係のウェブサイトをいくつか運営してたり色々やってる大学生です。1つはカテゴリ日本一だったりします。
物心ついた時から車好きで、現在の愛車はルノーメガーヌR.S.。