昨年2022年、ルノーは日本での販売台数が過去最高を記録しました。その台数、なんと8615台。
これまで日本で1番売れるフランス車は”プジョー”でしたが、ついにルノーが日本で一番売れているフランス車になったのです。そんな絶好調のルノーですが、今なぜルノーが売れているのか、その理由を探っていきましょう。
今のルノー車は?現行ラインナップ紹介
まず初めに現在日本で売られているルノー車をご紹介。あなたのお気に入りの1台が見つかるかも?
【 トゥインゴ 】
ルノーの一番小さいコンパクトカーが「トゥインゴ」です。扱いやすいサイズ感とかわいいデザインが魅力的なトゥインゴですが一番の特徴は、一般的な車と異なり、車体後方にエンジンを積むRRレイアウトを採用している点です。
このことにより、狭い道でも運転しやすい小回り性能や独特の運転感覚を生み出しています。そして、このかわいらしいデザイン、実は往年の名車、”ルノー5″をモチーフにしているんです!皆さん知ってましたか??
【 ルーテシア 】
ヨーロッパで一番売れているBセグメントコンパクトカーが「ルーテシア」です。コンパクトカーらしからぬダイナミックなデザインと元気よく走る走行性能が魅力的な車です。輸入車ナンバーワンの燃費性能を誇るハイブリッドも発売され、まさに死角のない車と言えます。日本でも扱いやすいサイズ感ですね。
ルーテシアに関してはこちらの記事に詳しくあります。
【 キャプチャー 】
今世界的ブームとなっているコンパクトSUVのなかで頭角を現しているのが「キャプチャー」。ルーテシアをベースにしたキャプチャーは、ルーテシアが持つ走りの良さや燃費性能はそのままに、使い勝手をプラスしたモデルで、クラストップのラゲッジスペースや前後に160mmスライドするリヤシートを装備し、フレキシブルに使う事ができます。
ちなみに昨年日本で一番売れたルノー車はキャプチャーで、全体の約30%を占めました。
【 アルカナ 】
筆者が今一番気になっているルノー車が、この「アルカナ」です。個人的にクーペSUVというジャンルの車のデザインが全般苦手なのですが、アルカナの場合はそもそもの車高がそこまで高くないため、ルーフが下がっていることにそこまで違和感を感じません。
そして、アルカナの魅力はハイブリッドシステムにあります。1.3Lターボエンジンに補助モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドとF1で培ったドグミッションを組み合わせてレスポンスと燃費性能の両立を実現したE-TECH FULL HYBRIDの2種類から選択することができるのです。実際に後者を試乗したことがあるのですが、楽しい車でしたよ。コスパの高さも魅力的です。
【 メガーヌ / メガーヌスポーツツアラー 】
ルノーのCセグメントハッチバックが「メガーヌ」です。日本では1.8Lターボエンジンで300馬力を発生させるR.S.が有名ですが、そのベースとなったメガーヌは、VWゴルフやプジョー308などの強力なライバルがひしめき合う、このクラスの代表車種です。
ハッチバックよりも、240mm全長を伸ばした”ワゴンタイプ”のスポーツツアラーもラインナップされています。日本導入当初は1.6Lターボエンジンを搭載したスポーツモデルのGTがメインで販売されていましたが、残念ながらマイナーチェンジで消滅し、現在は1.3Lターボエンジンを積むインテンスのみのラインナップです。
過激なグレードは消滅しましたが、代わりにボディカラーの選択肢が増えました。購入を検討している人にとっては嬉しいですね。
【 メガーヌR.S. 】
言わずと知れたニュルブルクリンク世界最速マシン「メガーヌR.S.」です。つい先日、R.S.ウルティムというファイナルエディションが発売されましたが、その性能は未だ一級品です。
リアタイヤを操舵させる”4コントロールシステム”やサスペンションダンパー内にサブダンパーを搭載した”HCC”などライバルにはない技術が装備されています。
また、このR.S.ウルティムの発売でルノースポールも終焉を迎えることとなりました。
メガーヌに関しては、こちらの記事により詳しくあります。
【 カングー 】
ルノーといったらカングーを思い浮かべる方も多いのでは?それぐらい人気がある車が「カングー」です。使い勝手の良さや可愛いデザイン、豊富なカラーバリエーションなどが理由で日本で大人気の車です。
日本では最近新型の3代目カングーが発売されました。新型でも使い勝手の良さなどのカングーらしさはそのままに安全装備やパワートレーンの刷新が行われました。
約2000台のカングーが一同に集まるカングージャンボリーというイベントも開催されており、筆者も3回訪れたことがありますが、広い駐車場が全てカングーで埋まっている光景は壮観でした。
ルノーの現行ラインナップを紹介してきましたが、ここからはルノーの最新技術や魅力をご紹介。
【 E-TECH FULL HYBRID 】
ルノーの全く新しいハイブリッドシステムがこのE-TECH FULL HYBRID。このシステムの特徴はトランスミッションにあります。
速度域の高いヨーロッパの高速道路でも、快適に運転できるレスポンスの良い気持ち良いドライブフィールと燃費性能を実現するために、F1マシン等に搭載されているドグミッションを採用しました。
ドグミッションは変速ショックが大きいことから、一般的には普通車で使われることはありませんが、E-TECH FULL HYBRIDでは、4本のシャフトと6つの変速ギアを組み合わせて構成されたドグミッションを発電用モーターを変速時に利用して回転を合わせます。こうすることにより、スムーズかつレスポンス良い変速を実現しました。
フォーミュラやラリーなどのモータースポーツの経験が豊富なルノーならではのシステムです。
低燃費とは対極にありそうなレーシングカーから発想を得ている点が興味深いですよね。また、輸入車で唯一のフルハイブリッドシステムであるE-TECH FULL HYBRIDは輸入車No.1の燃費性能を誇ります。
現在このシステムが搭載されているのはルーテシアとキャプチャーとアルカナの3車種。今後の展開にも期待です。
【 デザイン 】
ルノーのデザインといえば一昔前では、アヴァンタイムや初代トゥインゴなどを手掛けたパトリック・ルケマン氏が有名でしたが、2009年からはマツダから移籍したローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏がチーフデザイナーに就任しました。彼は「サイクル・オブ・ライフ」という言葉をテーマにデザインを監修しています。
これは人の生活に寄り添うことを目的とし『人生のライフスタイルの変化とともに最適な車をデザインすること』を指します。その結果、先代ルーテシアを皮切りにルノーのデザインは一新されました。フロントではルノーのエンブレムであるロサンジュを大きく主張させ、ロサンジュを囲うカタチでワイドに横に広がるフロントグリルと、その延長にあるCシェイプヘッドライトがルノーの新しい顔として取り入れられました。
【ルノースポール -Renault Sport-】
標準車をベースにチューンアップされた高性能エンジンと引き締められた足回り、モータースポーツからインスパイアされたエアロパーツなどで武装されたルノーのスポーツモデルがルノースポール(R.S.)です。
“ルノースポール”という名前が付けられた最初の市販モデルは、ワンメイクレース専用車両として開発された1995年発売のスポールスピダーですが、実際には更に遡ってアルピーヌがルノー傘下に入った1970年代前半にルノースポールの歴史が始まりました。
現在、ルノースポールはメガーヌR.S.のみのラインナップとなりますが、そのメガーヌR.S.もファイナルエディションが発売され、ルノースポールの歴史は終わりを迎えようとしています。
今後、ルノースポールという名称はなくなり、新たにルノーのスポーツカーブランドであるアルピーヌの名前が与えられることになるようです。今後の展開が楽しみですね。
【 ルノー・日産・三菱アライアンス 】
ルノーグループは現在ルノーと日産と三菱の3つのブランドで構成されています。1999年に日産自動車がルノー傘下に入り、倒産寸前だった日産自動車の経営を建て直したことは有名ですが、そこから新たに2017年に三菱自動車が日産自動車傘下に入ったことから、三菱自動車もルノーグループに加わることになりました。
こうして誕生したルノー・日産・三菱アライアンスはフォルクスワーゲングループに次ぐ世界第2位の自動車メーカーに成長しました。グループ企業となったことで、プラットフォームやパワートレーンを共有したりOEM生産が行われたりと、自動車開発の合理化が進められてきました。
キャプチャーに三菱のエンブレムが付いたヨーロッパ向け新型ASX(日本名RVR)は日本国内でも話題になりましたね。
まとめ
日本で輸入車を買うとなると、メルセデスベンツやBMW、アウディ、フォルクスワーゲンといったドイツ車メーカーがイメージされることが多く、実際に販売台数の面でもドイツ車が強いですが、ルノーがそのドイツ車の中に食い込む時代も近いかもしれませんね。
気になる方も気にならない方も、まずはルノーのホームページをチェック!